夜に泳ぐ

 

南の国に住む幸せのひとつに、泳ぐ楽しみがあると思う。

4月になったら日中の気温は30度をこえ、屋外プールの季節になる。日中は日差しが強いから、日が暮れてから行くのが好きだった。日焼けの心配もなく、人も少なく、楽しく泳げる。

私はRec Centerから徒歩3分の距離に住んでいた。ピアノを専攻していたルームメイトは、運動するほうではなかったけれど、ある夜私が「プールにいこう!」と言ったら「えー」と言いながらついてきてくれた。貸し出し用の足ヒレをつけて、めちゃくちゃ早く泳いだりした。

帰りにサークルKで、メキシコにも売っているというPanque(パウンドケーキ)を買った。彼女のお気に入りはピーカンで、日本のしっとりとしたパウンドに似ているのと、アメリカのブランドより甘さがマシで、私もよく食べた。

Rec Centerのプールは夜10時まで開いていて、ひとりじめする夜もある。

バングラデシュ人の自信家の友達が、実は泳げないと言い出し、笑えて一緒にプールに行ったことがあった。義務教育に水泳があることに感謝したりした。

学生は無料だから、暑いときに足を浸しにいく。