タイ1日目

6時間のフライトを終えて気温30℃の1月を迎えているバンコクに到着した。深夜1時半でも空港内はすべてが稼働していて、私は次の移動に備えるためにセブンで軽食を買った。予約していたタクシーは私達のことを待っていて、いそいそと車に乗り込んだ。

そして早朝4時過ぎ、最終目的地のパッタヤにたどり着いた。タクシー運転手はそのままバンコクに引き返したのだろうか、そんなことを話しながら友人と各々の部屋に別れていった。

翌朝は旅の興奮で意外と早く目が覚めた。8時半。シャワーを浴びて、支度をした。面長の私と丸顔の友人のないものねだりの話とか、とにかく女の子同士の雑談が尽きない。そういう時間を過ごすために私達は遠くまでやってきた。

パッタヤではまだ数少ない超高層マンションの一室は、タイ人の友人一家が所有していて、今回の旅では無料で貸してもらった。写真通りのプールが一階にあって、それを見ながらカフェでブランチをした。天国だなあと思った。

その後は大きなモールへ行って、お金をおろした。以前使ってたキャッシュカードは使えなくなっていたけれど、クレジットカードのキャッシングが使えた。クレジットカード会社のキャッシングのポリシーは、各社が顧客を大切にしているか金づるにしたいかが見える。

モールの向こうはビーチだった。海沿いの道をココナッツジュースを飲みながら歩いた。本物のココナッツジュースは本当においしい。バングラデシュで熱を出したときにたくさん飲むことになって、それ以来私の中で健康食品になっている。ポカリだと思っている。要するに蒸せるような暑さの中飲むのに最適ということ。

たくさんの白人男性とタイ人女性のカップルを見て気持ち悪いなあと思った。歓楽街には昼でもひやかしのお姉さんがいて、男性が通ると大きな声で呼び止めようとしていた。少し嫌で、前を歩く日本人男性のような人を追い越すときに、しっしっという仕草をやってしまった。

目指すはだまし絵で有名なパラダイスアートギャラリーだった。このギャラリーは壁という壁にだまし絵が描いてあって、しかもARアプリと連携してだまし動画が撮れる場所だ。友人と交互で写真を撮ったり、セルフィーしたり、撮ってもらったり。生首のように写るだまし絵で本気を出して写りに行ったら、列の後ろの方の人も笑っていてちょっと嬉しかった。

その次はまたモール。ターミナル21という、バンコクにもあるモールで、階ごとに違う国をテーマにしている。日本のドラッグストアと、韓国のものと、タイのコスメブランドが並んでいて、パッケージの違いを楽しんだ。顔がたくさんあったらいいのに!

途中の階で、タイ料理を食べた。紫のプレートに乗るタイ料理がとてもきれいで、目にもおいしいところだった。

その後フットマッサージへ。モールの中とは思えない広い店の奥の部屋に通されて、ここまでの旅の疲れを癒やした。天井の高い部屋に大きなパネルの絵が飾られている部屋だった。東京にはないゆとりの空間、これを求めてやってきたんだよ、と。

マッサージのあと、After Youというタイの若者に人気のカフェでコーヒーを飲んだ。旅の途中のコーヒーは本当においしい。私はご飯、マッサージ、コーヒーのコンボで完全に元気になっていたのだけれど、友人は今日はもう休みたいとのことだった。私も病み上がりだったので、こういうときにセーブするのが大切なんだな、なんて思って帰りのGrabを呼んだ。

だがしかし〜

道の途中で見えたナイトマーケットがとても楽しそうで、私も友人も抗えず、途中下車して遊ぶことにした。Grabのドライバーさんはとても丁寧に対応してくれた。

ナイトマーケットの雰囲気を前にして友人は「こうやってキャピキャピすることを求めてたのかも」と言った。確かに、仕事に本気だと体調管理にも本気になり、夜もそこそこに「明日があるから」と切り上げてしまう。楽しむ気持ちを忘れるなんて思いもしなかったけど、実際この半年くらいは忘れていたみたいだった。不思議。

旅行は心のストレッチなのかもしれない。普段は筋トレと試合と休養を繰り返すような心の使い方をしている。充実しているのはいいことだけれど、遊びの部分が減ると、可動域が減ってしまう。私達はフライトでも3、4時間ずっと他愛もない話をしていた。仕事の愚痴ともならない気持ちや、高校の頃の恋の話まで。ただ受け止め合う、流れるだけの会話を、わざわざしたくてしていた。

ナイトマーケットでは、私がもう絶対確実に似合うシルクのセットアップがあったのだけれど、最近のミニマリスト的自制心を働かせて買わずに終えた。実際部屋に戻ってくる頃にはあまり必要なく感じていた。不思議だ。買うことは悪くないけど、欲しいという気持ちが消えるのは不思議だ。

ナイトマーケットにたどり着く途中、トイレを借りたくてバーに寄った。バーのお姉さんが、パッタヤの南の方にある大きなボタニカルガーデンをおすすめしてくれたので、明日はそこに行こうと思う。